切手の思想家たち2022

世界の切手のうち、思想家・科学者・芸術家を中心に人物切手について自由に書きます。題名は故・杉原四郎先生の『切手の思想家』(未来社)をリスペクトしてつけました。

2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

ヒルマ・アフ・クリント

ヒルマ・アフ・クリント (1862–1944)は、スウェーデンの芸術家だが、その作品は日本ではなじみがないかもしれない。僕自身、今年発行された彼女の切手でその存在を初めて認知した。抽象画の先駆者であり、その作品には霊的世界観が反映されているという。 こ…

「JPS航空郵趣研究会展2020 ー飛行機の消印ー」とアメリカ航空切手

先週、切手の博物館で「JPS航空郵趣研究会展2020 ー飛行機の消印ー」に行きました。趣味的には門外漢なので、デッドカントリーの航空切手が未使用で揃っているのに綺麗だな、とか、特にブルーインパルスの医療従事者への感謝飛行のフレーム切手の初日印を集…

石橋湛山

9月25日は、元首相、ジャーナリスト、そしてリフレ派の祖である石橋湛山の生誕日でした。湛山の切手はないので母校の早稲田大学の大隈講堂切手を。 石橋湛山については学会での報告や雑誌への寄稿などかなり多く書いています。 ここではネットで読めるものを…

ヴェルサイユ条約発効100周年と山形浩生訳:ケインズ『平和条約改訂案』

今年は第一次世界大戦の休戦をうけて開催されたパリ講和会議(1919年)で決議されたヴェルサイユ条約が翌年(1920年)に発効して100年を迎えます。というわけでこの中央アフリカが最近出した記念切手を。 なぜ中央アフリカが? という疑問はあると思いますが…

香港の“兒童郵票 棋樂無窮”と中国の政治的規制

先月、内藤陽介さんとtwitter上でやりとりした香港の“兒童郵票 棋樂無窮”(児童切手、囲碁などのボードゲーム、2020年)をミニシートタイプでようやく購入。 この香港の切手は、児童とボードゲームのほんわか系の切手にみえて、実は高度な政治的判断が加わっ…

ユダヤ新年切手1948-1959と強制収容所解放75周年記念切手

今日は、切手の博物館で少しだけ調べものをしましたが、その際にミュージアム・ショップでイスラエルの強制収容所解放75年切手などを購入しました。ちょうど出かける前に以下に紹介するユダヤ新年の切手についてtwitterでつぶやいていたので、やはりこの切手…

マリのクーデター、『マリ近現代史』、マリの切手(2)

西アフリカのマリでの軍事クーデターによる大統領失脚(現在は健康を理由に出国)、その後の軍部と反政府連合との暫定政府案をめぐる政治的な攻防が繰り広げられてて、政治的安定には遠いようです。 関連記事 マリ反政府連合、軍支持の暫定政権計画を拒否 写…

マルク・ルゲとラオス王国の切手

マルク・ルゲはかってラオス王国時代に発行された切手の下絵を描いた画家として有名です。切手のデザインや彫版をつとめたジャン・フェルパンとの共作は、今も長く切手愛好家たちに愛されていて、僕も切手収集を再開してまもなく、加藤郁美氏の『増補新版 切…

19世紀の写真家ナダールの文化的広がり

ナダール(1820-1910)は、19世紀を代表する写真家として知られています。今年は彼の生誕200年を祝った記念切手が、フランスから出ました。ナダールの試みのひとつである自転ポートレート。これは同じ位置にカメラをすえ、自身が回転盤の上に立ち同じ姿勢を…

竹久夢二

9月16日は、大正浪漫を代表する画家で詩人の竹久夢二(1884年 - 1934年)の生誕日です。というわけで今日の一枚はこの切手を。 1980年に発行された近代美術シリーズ第10集、竹久夢二の代表作「黒船屋」をデザインしたものです。パソコンの画面でいま見ている…

アレキサンダー・フンボルト

9月14日は、自然科学者で地理学者でもあったフリードリヒ・ハインリヒ・アレクサンダー・フォン・フンボルト(1769年 - 1859年)の生誕日でした。フンボルトは兄のヴィルヘルム・フォン・フンボルトと並んで、19世紀の教育・研究に多大な貢献を成し遂げまし…

World Topics

郵趣サービス社のWorld Topicsの頒布会に入会した。アメリカとエジプトとこのWorld Topicsの三つでだいたい毎月の最新の切手を手に入れていくつもりである。国別では、北朝鮮とモザンビークを集めているが、前者は頒布会はあるが政府の制裁対象国なので停止…

震災切手:東京印刷と大阪印刷

1923年9月1日の関東大震災によって通信省の切手倉庫は全焼、印刷局も壊滅的な打撃をうけた。このため各地の郵便切手の在庫払底の危機が招来し、それに緊急に対応するために暫定的な切手発行が企図された。それがいわゆる「震災切手」である。 震災の影響がな…

杉原四郎「幸田露伴について」

このブログのタイトルにもしている『切手の思想家』の著者である故・杉原四郎先生の短文に「幸田露伴について」というものがある。これは人物切手部会会報『人物』に1998年に寄稿されたもので、掲載されたのは手書きの原稿そのものである。最近、切手の博物…

マハトマ・ガンディー生誕150年切手

今日、切手の博物館に行ったらショーケースにエジプトから昨年出たガンディー生誕150年切手があった。最近のエジプト切手はなかなか手に入ることができないので速攻入手した。一応、郵趣サービス社のエジプト切手頒布会に入っているが、最近の入会なのでこの…

ラファエロ「ロレートの聖母」、「ラファエロ生家の聖母子像」

今年はラファエロ・サンティの没後500年記念の年です。ラファエロの切手は無数にあるのですが、今年も多くの国で発行されるでしょう。故・杉原四郎先生はかって、ラファエロとマルティン・ルターが同時代人であったことを切手から教えられたとエッセイに書き…

錯視切手と示温切手

9月7日は、僕の誕生日でした(笑。経済学関係では、ゴッセンの誕生日でもありますが、彼の貢献の児童労働に関する切手を掲示しようかと思いましたが、むしろ最近手に入れた変わった切手を簡単に紹介します。 この四枚は、ドイツから出た錯視の切手で、上の二…

黒澤明

9月6日は、映画監督の黒澤明(1910-1998)が亡くなった日です。ということで今日はこの生誕100年を記念してモナコから発行された記念切手(2010年)を。 黒澤の代表作『七人の侍』をモチーフにしたデザインです。『七人の侍』は日本からも切手で出ていますが…

フレディ・マーキュリー

今日、9月5日はクイーンのボーカリスト、フレディ・マーキュリー(1946-1991)の生誕日でした。というわけで今年最大の話題になったシリーズからこの一枚を。 クイーン結成50周年を記念して、今年イギリスでは一連のクイーン切手が発行されました。上の写真…

夏らしい切手、ひまわり、アイスクリーム、かき氷、花火にねぶた祭

今年、一番夏らしい切手を発行していた国を選ぶとすると、やはりカナダではないでしょうか。というわけで、全然、終わりがみえない日本の夏ですが(笑)、夏にふさわしいと個人的に思ってるカナダの切手はこれです。 夏といえばひまわりw。単純にせめてみま…

ベラルーシ共和国のレーニン切手

大統領選挙前後からベラルーシの政治制度、すなわちルカシェンコ大統領の独裁体制が日本を含む欧米諸国の関心を集めています。そして現在もベラルーシでは、ルカシェンコ体制への反対デモが大規模に行われていて、体制を支持するロシア、それに対して批判を…

リリウオカラニ

今日、9月2日は、ハワイ最後(第8代)の国王リリウオカラニ(1838-1917)の生誕日でした。というわけで今日はこの旧ハワイ王国の切手を。 この切手は、1891年に発行された旧ハワイ王国の切手で、リリウオカラニ女王の肖像を描いています。リリウオカラニは…

国勢調査100年と杉亭二、伊東祐穀

今日は、国勢調査100年を記念した切手が発行されました。以下です。 今月号の『郵趣』を読んで最も驚いたのは、まさか切手趣味の雑誌で、本格的な日本の統計学史のエピソードを切手や他のマテリアルとともに読むことができるとは想像できなかったことです。…