西アフリカのマリでの軍事クーデターによる大統領失脚(現在は健康を理由に出国)、その後の軍部と反政府連合との暫定政府案をめぐる政治的な攻防が繰り広げられてて、政治的安定には遠いようです。
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マリ反政府連合、軍支持の暫定政権計画を拒否 写真2枚 国際ニュース:AFPBB News
マリについてはこのエントリーに少し書きましたが
マリのクーデター、『マリ近現代史』、マリの切手 - 切手の思想家たち2020
今日はこの続きで、内藤陽介さんの『マリ近現代史』に掲載されている切手を中心に紹介。
まずこちらから。
右端の切手は、1960年に発行されたマリの特徴的なモスクであるサンコーレ・モスクが描かれている。このモスクは砂漠都市トンブクトゥにある。以下の記事にあるように反政府系組織の支配下地域にあり、また砂漠化による浸食によってユネスコから危機遺産(世界遺産の中で存続が危ぶまれているもの)に指定されている。
アフリカの歴史都市トンブクトゥ 世界遺産に迫る危機|ナショジオ|NIKKEI STYLE
手前には、ラクダに乗ったトゥアレグ人が描かれている。この切手のデザインと彫版はフランスの名匠ピエール・ギャンドンの手になる。
真ん中の切手も同じく1960年に出されたもので、やはりトンブクトゥの建築群をギャンドンが手掛けたものである。いずれも内藤さんの『マリ近現代史』の第一章に出てくる。
左端の切手(1960年)には独立当初のバマコの遠景と、バマコの意味“ワニの湿地”を表す市票がデザインされている。この作品もギャンドンだと思うが調査中。ギャンドンが手掛けたマリの切手は20種類あるという(参照)。内藤さんの本の第二章にこの都市をめぐるエピソードがあるので、アフリカに対するフランスの植民地政策の功罪の理解を深める意味でも一読されたい。
また『マリ近現代史』に収録されたマリの切手が手に入った段階で、マリの最新情勢とともにエントリーしてみたい。