切手の思想家たち2022

世界の切手のうち、思想家・科学者・芸術家を中心に人物切手について自由に書きます。題名は故・杉原四郎先生の『切手の思想家』(未来社)をリスペクトしてつけました。

マリのクーデター、『マリ近現代史』、マリの切手

8月20日ビアズリーミシュレの生誕日だったが、運悪く彼らの切手が手元にない。それとtwitterで、マリのクーデターの話題で、内藤陽介さんの『マリ近現代史』(彩流社)の話がでたので、マリの切手で自分が持ってるものからお気に入りをご紹介。

 

その前に今回のマリのクーデターについては内藤さんのこのエントリーを参照のこと。

郵便学者・内藤陽介のブログ マリでクーデター

 

内藤さんの『マリ近現代史』に掲載されているマリの切手を中心に集めてたが、マリのものはなかなか国内では集めにくい。仏領スーダン時代の切手はとりあえず除外して、マリが独立してからのものを。フランスに印刷を委託したものがやはり綺麗である。

 

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上段左は、マリ連邦発足の最初の切手。ただしこの連邦は二か月で、旧スーダンセネガルとが分離してしまい解体。前者がマリ共和国として発足する。下段右のサン・ルイの名所と都市域、女性を描いた切手もマリ連邦のもの。

 

上段右はマリ共和国が一周年を迎えたときのもの。

 

マリの切手の中でも最上位に好きなのが、下段左の国際児童年を記念した1979年の切手。ここらへんまでのマリの切手は審美眼的にも興味があるものが多い。現在は以下略。

 

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中国からの経済援助の歴史は長い。右は毛沢東死去1周年記念で、援助で建設された施設とともに。左は、南ベトナムとの連帯を訴えた1964年の切手。この頃のマリの外交政策と内政の動向は、『マリ近現代史』に詳しい。

 

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マリ連邦の国旗では中央に描かれていて、いまのマリ共和国の国旗からは削除されたカナガをかぶるドゴン族を描いた切手のFDC。六枚組で出たもののひとつ。なぜ国旗から削除されたかは、内藤さんの本を読んでほしい。

 

マリの仮面文化はとても興味深い。このカナガは仮面の上部についている人型は、上に伸びる手で恵の雨を、下にのびる手で豊穣の大地を意味しているという。このマリの仮面切手シリーズは同国の切手の中でも白眉のひとつ だろう。

 

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オートバイシリーズ。フランスの印刷技術が生み出した優れた作品。下のゴットリープ・ダイムラー を記念した三枚組も憂い顔の女性の造形ともに美しい。フランスに委託した時代のものはいいのだが、今のは(再び略。

 

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