切手の思想家たち2026

世界の切手のうち、思想家・科学者・芸術家を中心に人物切手について自由に書きます。題名は故・杉原四郎先生の『切手の思想家』(未来社)をリスペクトしてつけました。

切手の博物館開館30周年記念イベントの郵便図書バザール

切手の博物館開館30周年記念イベントの郵便図書バザールに。

 

開館と同時に階段をかけあがり、前をいく方を気づかい2番手で会場入り(笑)。お目当てなし(笑)。いい運動だった、パタリ。

 

画像

 

写真はお目当てではまったくないが、目についたので購入したもの。松田至弘『ルターとクラーナハへの旅』は、題名のとおりにふたりの人物をめぐる歴史と旅のエッセイ集。ルターとその関連の切手を豊富にとりあげていて、人物切手の紹介も兼ねている郵趣家には嬉しい読み物だ。100円で買えたのも嬉しい。状態もいいのでなんか申し訳ないが。

 

もうひとつは、ドイツ切手のカタログで、日本郵趣協会発行の2005-6年版。これ以降、ドイツ切手のものはでていないはず。いまや日本語で読める年度版(あるいはそれに準ずる位置づけ)の外国切手カタログは中国のみになった。一時期は、ドイツ、アメリカ、イギリス、フランス、スウェーデン、オーストリア&スイス、台湾、韓国、中国と9種類は出ていたはず。僕のように子供の頃に集めていて、そこから8年ほど前に復帰したので、その間に出ていた外国切手カタログはあとから集めなおす感じ。もちろんミッテルとかギボンズとかスコットの自分の関心のある国についてのものは手元にあるのでいちいち日本版を買うまでもないのだが、やはりなんかほしかったw。ドイツのは、アマゾンでは2万円ぐらいするのだがw、バザールで800円でw。とても嬉しい。笑。

H.V.ニコルソンと賀川豊彦

7月にいった切手イベントでの感想。Xから転載。

 

先週、お目当ての切手図書が買えず大落胆した全日本切手まつりだったが、この封書はなかなか情報が多彩で買えてよかった。切手商はこの封書の写真(賀川豊彦)を強調していたが、そこも重要といえば重要だが、送り主の方がはるかに重要。送り主は、戦前(昭和10年)の水戸で布教活動をしていたH.V.ニコルソン。米国の両親に送ったもの。手紙がないのが残念だ(郵趣が中心の出物だとこのパターン多く、単純に歴史的資料の喪失につながる)。ニコルソンは、「日本人の恩人」といっていい人物だと思うが、wikipediaも英語版しかない。戦前、クエーカーの宣教師として来日し四半世紀、水戸を中心に活動。農村の貧困救済のための貯蓄口座プログラムを始め、ヤギ農場を立ち上げ、禁酒運動に関わり、老人のための家(茨城での老人ホームの先駆)を建て、ハンセン病患者の世話などに従事。この時、賀川と出会い、その活動に共鳴したことがこの書簡の写真からわかることが歴史的には重要。さらに裏面では白十字会(結核救済活動の団体)のクリスマスシールが添付されてるのも重要な情報(実際に利用されているレアなケース?)。なお切手は風景切手の輪転版。それはいいとして、ニコルソンは第二次世界大戦中は、米国に帰国し、そこで不当にも強制収容所に閉じ込められた日系アメリカ人たちの支援活動に積極的に関与する。この活動は米国では特に注目されているようだ。日本ではほぼ忘却されているのが、今回の切手商の売り方でもわかることではある(それを知ることもできるのは反面教師的な意義がある)。また戦後は日本に戻り、日本の子供たちなどの栄養不足問題への対処で、やぎ5千頭を輸入し(ララ物資のひとつ)、そのミルクを活用した。「ヤギおじさん」として知られる。大津光男氏の評伝がkindleでも読める。

 

画像

 

画像

裵雲成(ペ・ウンソン)と三井高陽

去年の終わりにXポストしたもの。

 

三井高陽は日本の切手研究(#Philately)の草分けで著名だが、三井家のひとりとして多彩な活動を特に戦前に行っていたことはあまり知られていない。僕も今年の #JAPEX #japex2025(with 内藤陽介さん)やstamp-showで展示品(stamp-showでワークショップ展示品で掲示したので賞の対象外)も含めてトークイベントで話してきたが、全貌には遠い。

 

例えば戦前に画家、裵雲成(ペ・ウンソン)の手になる実に興味深い三井の肖像画がある。この肖像画の分析と裵雲成と三井との関係は、申旼正氏の刺激的な論説である「「境界」の画家、裵雲成に関する一考察 : ヨーロッパでの制作活動における日本との関連性を中心に」(2019)に詳しい(https://repository.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/records/51385)。

 

 同論文では裵雲成が描いた三井に関わるさまざまなモチーフが描かれている。個人的に興味深いのは、交通をめぐるものである。申旼正論文では、三井の家業との関連だとされているが、それだけともいえない。この画は三井が夫婦で欧州に旅行したときに描かれたとされるが、その旅行の前に三井は『交通物語』(1932)を公刊している。この本は交通経済、郵便史、切手研究にまたがる学際的な本である。トークイベントでも語ったが、日本では学際的な分野で活動した人への関心はとても低い(学術的な関心の場で、官僚的な縦割り意識が強い)。その意味で、三井の視野(交通の中での経済、郵便、切手)が見失われている。話を戻すと、この絵での交通モチーフは三井家の家業だけではなく、三井自身の交通観につながるものだったろう。観察する限り郵便に直接関係するモチーフをこの絵からはみれないが(あればご教示を)。さてこの裵雲成についても切手研究からみて興味深い。なぜなら彼はwikiの情報で申し訳ないが、朝鮮戦争後に北朝鮮にうつり、そこで金日成の最初の肖像画を描いたという。また彼のその時代と思われる作品のいくつかをみたかぎり、わたしが知る限りの北朝鮮の50,60年代の切手のいくつかと絵柄やモチーフが類似している。

 

 ここらへんの関連はすでに切手研究の方で調べられているかもしれないが未確認である。またその最初の金日成の肖像画もみてみたい。内藤陽介さんにお願いしたい(笑)。#stamp #切手 なお1930年代の三井の東欧での活動と、それが私にも無縁ではないことは、春のスタンプショーでも話した。三井は時代も空間も超えてまだ私たちに近いのだ。

 

 

https://x.com/hidetomitanaka/status/1994662271491215785

 

講評拝受

今日は天気もよかったので切手の博物館にいき、stamp-showの出品作を回収しに。今年は京都の学会報告が重なり、早朝嵐山から浅草にいきへばったので内藤陽介さんの講演も聴けず自分の作品とあと数点しかみる体力なし(笑)。写真は今日頂戴した講評、はげみになります。

 

画像

Stamp-Show2026への出品

学術シンポジウムをおえて、朝早く京都から浅草のStamp-Show2026に。

 

もう初めて切手展示作品を出品してから1年経ったのか、と驚くほど時間の経過が早い。

 

今年は去年、ワークショップ枠で出した作品を時間もなかったのでほぼそのままで出したのと、地味にコツコツ低予算で集めてた船シリーズをワークショップ枠で出した。他の展示品はあまりみる肉体的な余裕がなく、やはり旅のつかれなので早々に立ち去る。

 

以下は自分の作品。

切手作品としては、念頭にあるのはあとふたつから四つくらいで、10年くらいかけて作成するかも。長生きしないとw。

画像画像

 

画像画像画像