三波春夫と北詰ゆきとのイノベーション(革新)とリベリア切手
7月19日は故・三波春夫の生誕97年の日でした。三波春夫と切手といえば、このリベリアの万博切手です。三波にまったく伝えることなく無断発行したものですが、三波自身は生前これをたいそう喜んでいました。詳細は内藤陽介さんの名著『事情のある国の切手ほど面白い 』をぜひご参照を。
三波春夫は妻の北詰ゆきと二人三脚で膨大な歌藝世界を構築した。リベリアの切手の日本語は代表曲「世界の国からこんにちは」のフレーズである。三波がこの切手を喜んだのは、彼と妻が生み出したイノベーションが成功したことを国際的に認知されたと感じたからだ。それは着物姿での歌唱という革新だ。
彼以前に歌謡曲を着物姿で歌うことは一般的でなかった。特に右側の切手では裾から青い襦袢がみえるが、これも彼と妻が最も苦心した革新だった。
「かくてこのきもの姿は、ついに大阪万博の折りに、リベリア共和国が切手として私を使用するまでになり、まさに日本の男性歌手の舞台着となったのである」(三波春夫『歌藝の天地』より)