中央アフリカ帝国のレーニン切手
英国の代表的な切手カタログ「ギボンズ」の発行元から出ている「ギボンズ・スタンプ・マンスリー」をたまに切手の博物館で興味のある記事だけコピーして読んでいる。ちょっと前になるが2020年11月号で、いわゆるデッドカントリーの切手を扱っている連載にレーニン切手が紹介されていたので興味深く読んだ。著者はジョン・ムーディ氏。
中央アフリカ帝国は、クーデターをおこしてからその後、中央アフリカ共和国で独裁政治を行っていた大統領のジャン=ベデル・ボカサが、自ら皇帝と称して、1976年から79年にかけて存在していた国である。かなり苛烈な独裁政治で、多くの人が粛清された。この過酷な独裁制はやがて打破されるのだが、その短い帝国の期間にかなりの量の切手が発行されている。共和国時代と帝国と統治者が一緒なので、国家の仕組みも基本同じで(単に皇帝が巨額の経費で戴冠式をしたことが目立つ)、そのためか印刷所も同じ、海外の切手生産を行うエージェント系の企業が行っていた。しかし例外があって、それはレーニンの肖像や家族らを描いたロシア革命60周年記念切手6種とその小型シートである。これらは旧ソ連の
モスクワにあった国家印刷所で作成された。以下のレーニン切手がそれである。
残念ながら小型シートの方はいまだに入手していない。70-80年代にはアフリカ諸国でレーニン切手が発行されているが、その中には小型シートもあるのだが、市場にはあまり出回っていない珍しいものがある(ただ価格は高くはない)。
第一次国立公園切手「富士箱根国立公園」
謹賀新年。最近、切手研究用ブログはさぼりぎみでしたが、気合をいれて、紹介の遅れた先月号(2020年12月号)『郵趣』の内藤陽介さんの連載「日本切手150年の歩み」で紹介されていた第一次国立公園切手「富士箱根国立公園」。相変わらず自分の所有しているものをご紹介。
1936年に発行されたこの四枚のうち、赤い6銭以外は写真家の岡田紅陽の写真からデザインをとってきたもので、戦後の第二次よりも個人的にはこちらの四種類の方が好きかもしれません。内藤さんの記事にはさらに詳細な解説があるので関心をもたれた方はぜひご一読ください。
2020年のエジプト切手(タラアト・ハルブとミスル銀行100年他)
郵趣サービス社の国別切手頒布会には、アメリカとエジプトに加入している。研究対象がマルクス、レーニン切手や人物切手なので、国別はそれほど凝っていない。エジプト切手は、日本国内に入る絶対量は不足しているので、どうも『郵趣』では積極的には掲載せずに、頒布会で確実に提供する感じではないかな、と思う。
今月の頒布された切手は以下。
上段右から。フランコフォー二50年、アラブ連盟75年、国勢調査、汎アフリカ郵便連合40年、下段は、ミスル銀行100年になります。エジプトの切手は派手さはほぼないのですが、今回のミスル銀行100年は経済学者で実業家でもあるタラアト・ハルブが設立した民族銀行です。エジプトの産業化の勃興期に大きな貢献をしています。その後、国営化されて現在に至っています。
ミスル銀行のエジプト経済への当初の貢献は以下の論説に詳しいです。
https://www.ide.go.jp/library/Japanese/Publish/Download/Report/2018/pdf/2018_2_40_007_ch02.pdf
ヨハン・シュトラウス2世
今日は、「美しき青きドナウ」などのワルツで知られるオーストリアの作曲家、ヨハン・シュトラウス2世(1825年- 1899年)の誕生日でした。というわけで以下の切手を。
両方ともオーストリアで出された切手で、特に左側の1967年に発行された「美しき青きドナウ」作曲100周年切手は、名品の多いオーストリア切手の中でも好きな一枚です。同曲はもともと1866年の普墺戦争の敗北を経験した国民を慰撫するために作曲されたものですが、当初はあまり人気が出ず、パリ万博で高い評価を得たとのことです(飯島恒雄『四角い500の旅人たち』)。
ただ僕には「美しき青きドナウ」は、やはりキューブリックの『2001年宇宙の旅』の宇宙ステーションとそこに向かう宇宙船のワルツとして印象が深いものでもあります。
右はシュトラウス2世の肖像切手。未使用のものも持っていますが、ここでは使用済みで渋く。
https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/9/91/Strauss%2C_An_der_sch%C3%B6nen_blauen_Donau.ogg