切手の思想家たち2022

世界の切手のうち、思想家・科学者・芸術家を中心に人物切手について自由に書きます。題名は故・杉原四郎先生の『切手の思想家』(未来社)をリスペクトしてつけました。

アメリカ切手:2021年6月配布

 だいぶ新規の投稿はさぼっていました。アメリカ切手の頒布会の6月分は多彩で楽しめるものでした。まずこれは21年の年賀切手の完全シートです。頒布会で手に入れたのではなく、自分でディーラーから購入。シート地の干支の絵がいいですね。

 

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こちらは単片。左から普通切手の納屋(コイル)、ブラシウサギ(コイル)、物理学者の呉健雄(Ⅰ912-1997)。放射線を専門とする中国系アメリカ人の肖像。そして年賀切手の牛です。今年は年男だったw。コロナでそれどころではないけどね。

 

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また庭園の花の両面ペーン。表と裏を。ハナミズキ、チューリップ4色、アリウム、胡蝶蘭二種、ダリア、山百合、キバナハス

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エジプト切手:2020年発行

郵趣サービス社の国別切手頒布会には、アメリカとエジプトに加入している。研究対象がマルクスレーニン切手や人物切手なので、国別はそれほど凝っていない。といいながらも、モザンビーク北朝鮮、最近はマリとかキューバとかにも色気?をみせはじめてる。やれやれであるw。

 

さてエジプト切手の頒布はめったにないのだが、先月には三種類あった。新型コロナ切手はすでに紹介したので、残りの二種類。左は十日戦争記念、右は統計の日を記念したものである。

 

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日本三景:使用済

1960年に出た日本三景。未使用のものは簡単に集まるのだが、ペアや田形の使用済となると雑誌の写真でしか見たことがない(笑。ただの使用済も綺麗なスタンプのものはなかなか見つからない。収集を46年ぶりかで再開して一番驚いたのが、戦後の記念切手を集める難しさである。三景のもまた追加していく方針である。

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近代通貨制度150周年記念

1871年明治4年)に「新貨条例」が制定・発布され、円という新しい通貨単位が誕生した。その150年記念、旧造幣局、ガス燈、圧印機、大隈重信の全身像などが描かれている。硬貨は、150年記念硬貨、金銀銅貨、そして和同開珎。

 

大隈重信と円の誕生については以下が詳細である。

日本の通貨はなぜ「円」なのか 大隈重信と新1万円札・渋沢栄一【前編】 – 早稲田ウィークリー

日本の通貨はなぜ「円」なのか 大隈重信と新1万円札・渋沢栄一【後編】 – 早稲田ウィークリー

 

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アメリカ切手:2021年5月

アメリカとエジプト切手の頒布会に入っていて、エジプトはまれにしか頒布はないが、アメリカは毎月コンスタントに頒布があり嬉しい。今月は7種類だった。アメリカの切手は高額なものもせいぜい数千円でしかもそれほど多くはない。基本的には低額で楽しめるので年金生活になっても大丈夫そうだ(笑。

 

左から優先郵便切手のサンマルコス砦(フロリダの米国最古の石造要塞)を描いたもの。普通切手のブラシウサギ(Duglad Stremerのイラスト)。四季の納屋を描いた普通切手四種。そしてアフリカ系アメリカ人の遺産シリーズとして、劇作家オーガスト・ウィルソンの肖像切手。今月配布のアメリカ切手はなかなかよろしい。

 

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アインシュタインの一般的相対性理論と日食観測100年

サントメ・プリンシペといえばエージェント会社に切手の製造から販売まで委託している乱造国として知られている。よほど自分のテーマに合うものでないと買う意欲は起きない。ただこのアインシュタイン一般相対性理論を「実証」したとされる日食観測100年記念は、サントメ・プリンシペが発行する由来が十分にある。サントメ島は当時、この日食の観測地点として有名になったからである。

 

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切手本体もポルトガルとの共同発行で(ポルトガルのものは同図案)、エージェント会社に委託しているいつものパターンのものとは、一線を画すセンスのいいものだ。先日、たまたま切手の博物館ショールームでみかけてすぐに購入した。なおポルトガル時代のサントメ切手はコツコツ集めてるのと、またレーニン切手で一枚この国のもので集め逃しているものがある。なかなか見つからない。

 

アインシュタインはなぜか杉原四郎先生の『切手の思想家』には記載されていない。思想面でも同時代・後世でも多大な影響があったと思うのだが。

 

 

 

 

ボスニア・ヘルツェゴヴィナのチャールズ・ディケンズ没後150年記念切手

2021年5月のWorld Topics(郵趣サービス社が行っている切手頒布サービス)は、スロバキア天文学者マクシミリアン・ヘル生誕300年記念切手、ベトナムのホー・チミン生誕130年記念切手、そしてボスニア・ヘルツェゴヴィナのチャールズ・ディケンズ没後150年記念切手でした。このWorld Topicsはほぼ毎月、世界の最新の切手三枚を選んで、それに一枚ごとにリーフにして詳細な時事的な側面を加えて解説を書くという趣向です。

 

 ベトナムのものはすでに所持していて、他方でスロバキアの切手は購入するかどうか以前迷っていたものでした。買わなくてよかった(笑。今回は、経済学と縁が深いディケンズのものを。

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ディケンズの著作は、産業革命の労働者や貧困層の様子を活写した作品で、経済学の世界では知られています。特に『ハード・タイムス』は、僕の訳した『アダム・スミスの失敗』にもでてきて、当時の主流派の経済学である古典派経済学批判の文脈で援用されていました。

 

ディケンズについてはいつかまとめて整理して、講義かネットで話すか書くかしたいと思っています。

 

なお切手の世界でもディケンズはもちろん人気で、世界各国からかなりの数が出されています。