切手の思想家たち2022

世界の切手のうち、思想家・科学者・芸術家を中心に人物切手について自由に書きます。題名は故・杉原四郎先生の『切手の思想家』(未来社)をリスペクトしてつけました。

ボリス・ヴィアン生誕100年

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日本でも人気の高いフランスの作家ボリス・ヴィアン(1920-1959)の生誕100年を記念した切手が、今年フランスで出されました。シルヴィ・パットとタンギー・ベッセのふたりがデザインした原画三点をフェイスブックで人気投票させて、以下の切手が選ばれている。

 

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ボリス・ヴィアンは『うたかたの日々』(『日々の泡』)など小説家としての貢献が顕著で、日本でも世代を超えてさまざまな形で愛されているだろう。例えば僕は小説作品そのものよりも岡崎京子のマンガ、そしてオドレイ・トトゥの映画で印象深い。切手には執筆中のヴィアンの姿が描かれているが、またおそらくピアノの鍵盤(?)で、彼の音楽家としての側面や、また彼の筆になる手紙(膨大な数あるという)を配している。全体が昔のアルバムのジャケット風であり、そこに彼の作品の登場人物を象徴するかのようなアニメ的なカップルがいるのもアクセントだろうか。
 
デザインしたふたりのコメントで、ヴィアンの作品にはEclecticismとFantasyが共通する要素だという。後者は問題はないが、前者は日本語訳すると「折衷主義」で通りが悪い。むしろ異なる分野を横断する自由な精神性とその含意を日本語で理解するときは書き直した方がいいかもしれない。