切手の思想家たち2022

世界の切手のうち、思想家・科学者・芸術家を中心に人物切手について自由に書きます。題名は故・杉原四郎先生の『切手の思想家』(未来社)をリスペクトしてつけました。

ハーマン・メルヴィル

今日は、『白鯨』などで著名なアメリカの作家ハーマン・メルヴィル(1819-1891)の誕生日でした。というわけで、今回はこの切手をもってきました。アメリカから1984

年にでたメルヴィルの肖像切手です。

 

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アメリカは人物切手大国で、素晴らしい肖像切手がたくさん出ていますが、この切手も風格を感じさせる名品のひとつではないかと思っています。アメリカ切手は、使用済みを中心に集めているのですが、これは例外的に未使用でのものを掲載しました。

 

さてメルヴィルといえば『白鯨』なんでしょうけど、個人的には短編「代書人バートルビー」が印象深いです。僕はボルヘスの図書館シリーズ(つまりボルヘスの選)で若い頃読みました。ボルヘスが評価するのがわかる不思議な味わいの物語です。代書人の若い青年がどんどん仕事をしなくなり、それでも事務所、そして事務所が引っ越した後もその建物にずっと何もしないで居座る物語です。ジョルジョ アガンベンらの現代思想の人たちにも注目されている深読みができる作品ですね。

 

柴田元幸氏の訳が以下で読めますのでぜひご一読を。

https://info.ouj.ac.jp/~gaikokugo/meisaku07/eBook/bartleby_h.pdf

 

新編バベルの図書館 第1巻

新編バベルの図書館 第1巻

  • 発売日: 2012/08/27
  • メディア: 単行本